公園の菜の花とディアンジェロ (D'Angelo, Strollin' in the park)


「公園を散歩していたの、
なんだか春めいてきたのでおセックスしたい気分よ」

"Feel like Making Love"というソウルの名曲は元祖がロバータフラックだけど自分が最初に知ったのはマリーナ・ショウのアルバム"Who's this bitch anyway"(てか、この売女誰よ?ってこれもすごいタイトルだな)の方で、とても春めいて、歩く早さに寄り添うようなカッティングギターに公園にも菜の花が咲きそうなアレンジが好きだった。




今年のお正月だったか、お世話になっているギタリスト大宮農場長より「D'angeloのチケット取れました!!」と連絡が飛び込んできた。大宮麻比古農場長は常日頃可愛がっている苺たちにD'angeloを聞かせては「BrownSugarより甘くならないかしら」という研究をしているらしい。

ディアンジェロ、自分も好きだ。ていうかディアンジェロしか聞いてない時期とかざらにある。アルバムVoodooが出た後幾文月たってもアルバム出るでるといってはでなかった頃に、自分の脳内のパラレルワールドにはエア・ディアンジェロなるものが居て楽曲を鳴らしていたような気がする。(無事新しいアルバムがリリースされたので、脳内のエア・ディアンジェロやエア・ソウルクエリアンズ、"ぼくのかんがえたディアンジェロのニューアルバム"は霧散した)

去年のZEPPはチケット取れなくてソウル音楽を愛するオカモト弁護士と涙を飲んだ。ズルいこと甚だしいが大宮麻比古農場長はこのライブも見に行ったのである。そういえば今年のつくばねファームの苺は飛び切り甘い。

ディアンジェロ(中盛り)

ともあれ、大宮パシフィコ農場長が横浜のチケットを取ってくれたので冬の間ずっと祭壇に飾ってようやくこの日がやってきた。つくばから横浜まで、大宮君山本君のギタリストデュオと大人の遠足である。ブルックリンブックスというイルな書店をピープルの一角に設けているハンドポイントの石井さんと現地で合流した。つくば人口、というかマジックストリート人口密度が高い。

ライブは自分の好きなシンガーの好きな曲が演奏されるのでもうそれだけで幸せだったのだが振り返ってみると"学祭のライブみたいだな"と感じた瞬間が何度かあったのでなんでかいな?と思うことがあった。S席とはいえステージから離れていたからか、自分がいつまでも"Live at London Jazz Cafe"の"Lady"みたいなのを期待しているからかいな?と思ってTwitterでモヤモヤを

「この学祭感はなんだろう」

とつぶやいてたら、POPオーケストラのギター、サイトウリョウジが返事をくれたのがとても的を得ていてスッキリした。

「前回はもっとVoodooのレイヤー感があったけど、今回はあのピノの息子、ロッコ・パラディーノのプレイが甘くてピーキーにラフなグルーブになっちゃった印象です」

そうそう。せっかくの素晴らしいドラマー、意図的に執拗にビートを崩すクリスディブがただの下手なドラマーのように聞こえてしまう時があった。ロッコ・パラディーノさん、ピノ・パラディーノの息子さんということだし、Jdilla以降の生楽器ヒップホップの意図やグルーブ感をメンバーで統一してるだろうに...。
自分も気楽にベースをやってるけれど、こんなにトップクラスの人が集まってもリズム隊がグルーブできないとあんな風に聞こえるのか、と恐ろしくなった。ちゃんとベースも練習しよう...。

ステージ真ん中には鍵盤YAMAHA CP-80がずっと鎮座している。とてもアタックと個性の強い、でも音色がロマンシーで大好きなステージピアノで、尾道のシンガータダケイキさんの向島スタジオにもこれが置いてあった。Voodoo、Black MessiahのギターでマッチョなディアンジェロよりBrown Sugarの鍵盤で内向的なDが好きだったので何を弾くのか楽しみにしていたらアンコールのHow Does It Feel1曲だけだった。しかし...いい音だった...We want more...もっとソロ時間取って下さいー!


さて、Feel like making love、ディアンジェロもVoodooでカヴァーしていて。当然春めいたドリーミンな名カヴァーである。


有名なギタリスト、ジョージベンソンもこれをカヴァーしている、どんな素敵なギターなんだろう!と聞いて見たらなんか電気街の店内で流れていそうなアレンジでこの人の「春が来た感」「おセックスしたい感」というのはきっとウキウキ、キメキメなんだろうな、というかこのあかん感じのアレンジが返って癖になる、暁覚える春眠を振り払ってハツラツに飛び起きてリズム体操してから、キッチンでやらしいことする時はこっちだな、とおもう。


(3バース目のin a restaurant...という入りかた、レストランのドアを蹴破ってウキウキ入ってきそうな勢いだ…)

昨日の横浜パシフィコでのディアンジェロのアレンジもどっちかというとこっちだった。公園の菜の花*のはなびらも駆け出した風にビュンビュン飛び交っているのが聞こえてくる。Feel Funk!


*余談になるがこないだ、小林君たちと菜の花畑を見に行ったとき菜の花の英名を知った、rape blossomsというそうな。なんでレイプ??