人間変電所

夕方に、知らない電話番号から着信があった
03とか042から始まる電話はたいていろくでもない電話で
面倒なことが起こったりするので、とらないことが多いが
今回は携帯の番号だったのでとってみたら、電話の向こうの声は
もう数十年あっていない友人の名前を名乗った。

小学生の頃よく遊んで引っ越してしまってからも夏休みには
彼の家まで電車を乗り継いで遊びに行った友人だ。
どないしたんかいな、どうやって自分の携帯の番号を知ったのだろう、
懐かしいなあとおもったら要件は、

「太陽光発電機を実家の屋根につけないか」

というつまり営業の電話だった。
数十年ぶりの再会もわずか数分もない会話で終わった
おそらくこの後、また会うこともまれなのだろう。

彼も養う妻子ができ、大人になったということなのだなと
どこに住んでいるのかもよく知らない
今の姿を想像しようとしたが、うまくできなかった。

遠い彼の家に遊びに行った翌日の早朝の青空や
自分の町より少し都会だった街の景色のことは今でもよく覚えている。

(題には意味はない、ブッダの休日)